V125の駆動系をリフレッシュしてみた【スクーターメンテナンス】

V125は壊れにくいバイクですが、長く乗る為には駆動系のメンテナンスが重要です。
ベルト交換をするついでにやっておいた方が良い部品を紹介します。

整備内容はあくまでも素人が作業した記録ですので参考程度にお願いします。

駆動系のメンテナンス

今回は、ベルト交換のついでにウェイトローラー・スライドピース・クラッチの消耗品部品の交換を行いました。
部品は出来るだけ安く済むように純正にこだわらず社外品でも大丈夫そうな所は社外品を使用しています。

使用車種はV125(K7)です。
他の年式でもほぼ同じだと思いますが、参考程度にお願いします。

プーリーとクラッチを取り外す

駆動系のクラッチやプーリーを取り外す場合、そのままナットを緩めようとすると供回りしてしまうのでユニバーサルホルダー電動インパクトが必要です。
おすすめは電動インパクトですが、取り付ける際にユニバーサルホルダーが必要なので両方持っておく方が良いです。

オイルシールの点検

トランスミッション側(右)
クランクシャフト側(左)

駆動系を取り外したついでにオイルシールからオイル漏れ等が起こっていないか確認しておきます。
ここが漏れ出すと交換するのが大変そうですが、今回は大丈夫そうだったのでこのままにしておきました。

ついでにパーツクリーナー等で周りを清掃しておきました。

ウェイトローラーの交換

左上に写っているのは前回交換してから正確には覚えていませんが1万キロくらい走行した後のウェイトローラーです。
所々削れているのが分かります。

今回交換時に取り付けたのはキタコの15gのウェイトローラーを使用しました。
純正のウェイトローラーは17gなので少し軽くなります。
軽くすることで少し加速重視で最高速が落ちる傾向になります。

スライドピースの交換

左側に写っているのが取り外したスライドピースです。

新品と比較して特に劣化してそうな感じはしなかったですが、高い部品でもないのでついでに交換しておきました。
純正の物と値段もほぼ同じくらいだったのでデイトナ製の物を使用しました。

純正品番は「21481-14F00」です。

クラッチのメンテナンス

クラッチを整備していきたいと思います。

センターナットを外す

クラッチのセンターナットを取り外すには34mmのソケットが必要です。
クラッチの整備をしたことが無い場合はなかなか持っていないサイズだと思われますので購入する必要があります。

注意点としては、ナットを外した瞬間バネの力で部品が飛んでしまう可能性がある為、手で強く押し込みながら外します。

ついでにクラッチのセンタースプリングを強化品に交換したい場合はこの時に交換しておくと同時に作業が出来ます。

クラッチを分解する

センターナットを取り外してクラッチシューを外すとこのようになります。

クラッチのセンターシールと呼ばれる部品をマイナスドライバー等でこじって取り外しました。

シートの内側や外側に傷や亀裂などが無いかどうかを確認します。
走行距離が多くて一度も整備したことがない個体はここに傷が入っている可能性が高いです。

走行中のトラブルにも繋がるので交換しておきたい部品の一つです。
ここは純正部品しか選択肢が無いので取り寄せる必要があります。
部品番号は「21471-33G00」です。

古いグリスを除去する

まずはシートを取り外すと見える古いグリスを除去します。

3つある溝の中に入っているトルクカムのピンをラジオペンチ等でつまんで外すとこのように分解できます。
この状態で出来る限り古いグリスや汚れを除去して綺麗にしておきます。

ドリブンフェイスの溝を確認して削れたりしていないかを確認します。
ここも長い間整備されていない個体は削れたりしている可能性が高いので交換しておきたい部品の一つです。

ドリブンフェイスの純正部品番号は「21240-33G01」です。

オイルシールとOリングを交換

ドリブンフェイスのOリングとオイルシールを交換します。
この部品は社外品もあります。

ここが劣化していると駆動系にグリスが漏れ出したりするのでついでに交換しておきます。

純正Oリングの部品番号「21245-33G00」
純正オイルシールの部品番号「09284-34003」

トルクカムのピン交換

ピンとスペーサーがセットになった社外品があるので、純正でも社外でもどちらでも良いです。
こちらの部品も古くなると摩耗するので新品に交換をおすすめします。

純正ピンの部品番号「21248-33G00」
純正スペーサーの部品番号「21249-33G00」

新しいグリスを充填する

Oリング・オイルシール・ピンを組付けたらグリスを充填します。
トルクカム用のグリスが売られているのでこちらを使うのが正解ですが、私の場合は家に余っていたリチウムグリスを使用しました。
DIYで使うには量が多いので一度買えば一生使えそうですね。

溝の中にしっかりグリスを入れます。
グリスは上下のOリングの間の中だけに入れるようにします。

クラッチを組み立てる

基本的には逆の手順で組み立てるだけです。
注意点としては、ドリブンフェイスに空いている穴とシートの穴が同じ位置になるように取り付けます。

シートを取り付けた後、はみ出したグリスを全て拭き取ることを忘れずに。

次はセンタースプリングとクラッチシューを取り付けて、センターナットを締めれば完了です。
センタースプリングを取り付ける前に、先ほど合した穴にスプリングの先端を差し込むように入れてください。

新しいベルトを取り付ける

取り外した古いベルト

6~7年前に交換してから1万5000キロくらい走行したベルトを確認するとひび割れが発生していました。
まだ使えそうでしたが、走行中に切れて立ち往生するよりは良いですね。

ベルトの回転方向に注意

今回購入したベルトには回転方向の指定がありませんでしたが、回転方向に指定がある場合は矢印が書かれているのでそれに合わせて取り付けます。

激安ベルトに注意

ベルトの選定ですが、純正以外にも社外品が多く売られています。
購入する前にレビューを確認することをオススメします。
中には数百キロでベルトが切れた事例もあるようです。


純正ベルトを購入して取り付けるのが間違いないのですが、純正同等品で少しでも安くしたい場合はグロンドマンというメーカーのベルトが前回も6~7年くらい使うことが出来たのでオススメです。

締め付けトルクについて

プーリーとクラッチのナットには締め付けトルクが指定されています。
インパクトで強く締める人も居ますが、ユニバーサルホルダーで回り止めをしてトルクレンチで締める方が良いです。

プーリー側(左)の締め付けトルク「50N・m」
クラッチ側(右)の締め付けトルク「75N・m」

キックギアの清掃とグリスアップ

組付ける前にキックギアの清掃とグリスアップを行いました。
一度も中を見たことが無かったのでかなり汚れていました。

グリスはどれを使うべきか分からなかったのでとりあえずリチウムグリスを使用しました。

ギヤオイルの交換

駆動系のカバーを開けたついでにギヤオイルも交換しておきます。
写真下側のボルトがドレンボルトです。
外すとギヤオイルが出てきます。

上側がオイルを入れる穴です。
スポイトのような物か注射器があると入れやすいです。

量は90mlとのことですが、溢れてくるまで入れれば良いと思います。

指定オイルは10W-40のエンジンオイルです。
オイル交換時に余ったオイルを使用しました。

まとめ

・壊れにくいイメージがあるバイクですが、駆動系は定期的にメンテナンスが必要。

・走行距離が多い個体は点検することをおすすめします。